#109 たゆたう小宇宙。

京都で新しく生活を始めた友達のもとへ。


気のおけない友達との、ゆったりとした丁寧な食事に勝るものはないなあ。といつも思う。
今回もまた、贅沢な時間の過ごし方だった。
予定を詰め込みすぎず、気の向くままに歩いた先で発見をする楽しさ。じわーっと染み込む満足感。
住む場所が少しだけ離れても、またこんな時間を過ごせるんだ、ということが嬉しくて仕方なかった。
というより、これは、むしろお互いの環境が変わったからこそ生まれた時間なんだな。


夜になって、友達の部屋の本棚の中で目に留まった、一冊の自伝を借りて読んだ。
その本が、わたしたちをその場所へと導いてくれた。
緑に囲まれた小宇宙。それは歩いてすぐ行ける距離にあった。

「高桐院」大徳寺の一角にて。


Koutouji_01


Koutouji_02


Koutouji_03


Koutouji_04


Koutouji_05


龍安寺枯山水を眺めるのに似ているけれど、
枯山水よりも人工的な要素が少ない分、柔らかい空間という印象がした。
鳥のさえずりを聴きながら眺めるのは、風に揺れる木々と、少しだけ色づき始めた葉たち。
その合間から差し込む光の動き。


うーん、何時間でも座って眺めたい。
もう少し、紅葉の深まった頃、膝掛けでも持ってまた、この縁側に佇めたら、きっと最高だなあ。

気持ちがザワザワしている時に訪れたら、
スーッっと心が穏やかさを取り戻せそうな、そんな空間。