#170 空間と作品の関係。

青木野枝「ふりそそぐものたち」@豊田市美術館


豊田市美術館にて、彫刻作家 青木野枝の個展を観る。


a poster


鉄を題材とした女性の彫刻家ってめずらしいのかも。


鉄板が溶断され、溶接されてできたたくさんのパーツで成った作品は、
鉄の持つ重みをあまり感じさせず、どちらかというと柔らかく、
華奢な要素も持っていて、そこに女性らしさを感じた。


一番いいなと思った作品は、
モンゴルのゲルの枠組みを思わせる、ドーム型に組まれた枠の先に
たくさんの「卵」が結びつけられているもの。


「鉄」という、無機質でどこか非日常を感じさせる素材と
「卵」という、もろくて正反対の性質を持つ、日常的に目にするものとの組み合わせが
新鮮で、でもやっぱりどこかやわらかさを感じた。


man on the museum chair


豊田市美術館は初めて行ったのだけれど、
用事ついでにちらっと寄るにはもったいない空間だった。


美術館の空間で、たまに設計者の主張の強さが少し邪魔に
思えることがあるけれど、ここにはそれが全くない。


いい空間だなぁと、建物の空間の気持ちよさを感じながら、順路へと誘導されつつも意識はちゃんと作品の方に向く。
「どうでしょ、いいでしょ」という設計者の押し付けがましさが邪魔をせず、
展示物に集中することが自然にできる気持ちよさがあった。


建物まわりもゆったりとした散策にうってつけ。
ひっそりと素敵な茶室もあったりして、じっくり観れば半日は過ごせそうなすばらしい空間。
さすが豊田市の美術館だけあるなあ。としみじみ。