#064 六甲山の上で。

きょうだい揃って「六甲枝垂れ」という展望台を見に行ってきた。
六甲の風や太陽の熱エネルギーを活用して、自然と一体化した展望台。
バス→ロープウェイ→バスを乗り継いでいった甲斐があって、すばらしい体感だった。



入り口まで続く棚田のような石畳では、冬に雨水で氷がつくられ、
夏まで建物内部の「氷室」に貯蔵し、冷風に使用するらしい。
街中の気温マイナス5°くらいの体感温度で、霧がはって寒いくらい。



素材は全て檜。冬には枝葉に樹氷がつく。



「漏れ日の展望所」。霧の中で一瞬差し込んだ光を「ありがたい」と思う。
霧の合間に街の絶景も見渡せた。



「風室」の内部からみた天井。檜の層が光によって陰影をつくる。
「氷室」で冷やされた風がこの吹き抜けから外に出ていく。



六甲の北側の景色が見える、地下の「風穴」
壁のテクスチャーや石などの素材がここでも陰影を出していてきれい。
冬にはつらら越しの景色になるらしい。


自然のエネルギーを活用するという、今まさに求められている仕組み。
晴天と雨、昼と夜、夏と冬では全くちがった体感ができそう。
美術館でモダンアートを楽しむのとはまた違って、自分の体が
全身でよろこんでいるのを感じた。またいつか来よう。


設計者メモ:三分一 博志(さんぶいち ひろし) 1968年生まれ。建築家。いかにして建築が地球の一部になるかを一貫したテーマとし、「地球のディティール」を提唱。「新建築賞」、「Detail Prize」(ドイツ)、「ar+d award」(イギリス)など世界各国の賞を受賞し、2008年にはデンマーク国立アカデミー特別講師として招かれる。2010年に「日本建築大賞」を受賞した代表作、犬島アートプロジェクト「精錬所」は全く機械空調を使用しない美術館を実現し、廃墟と化した100年前の銅の製錬所を自然エネルギーによって現代によみがえらせている。